「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」という一見不思議なタイトルを持つ本書は、会計学を身近な疑問から学ぶための入門書として注目を集めています。
著者の山田真也さんは、会計に苦手意識を持つ人々に向けて、日常生活の中で会計の考え方をどのように活用できるかをわかりやすく解説しています。
今回は、本書の内容を考察し、その魅力と学びを深めていきます。
考察①:会計の本質は日常生活に根ざしている
本書の最大の特徴は、会計を難解な学問としてではなく、日常生活に密接したものとして捉えている点です。
例えば、現金の出入りや損得の判断、将来の計画など、私たちが普段何気なく行っている行動の中に、会計の考え方が自然と取り入れられています。
「さおだけ屋」という一見不思議な商売を題材にすることで、読者は会計の本質を身近なものとして感じることができるでしょう。
特に、さおだけ屋がなぜ商売として成り立っているのかを考える過程で、会計の基本的な仕組みである「売上」「費用」「利益」の関係が自然と理解できるようになります。
このように、本書は会計を学ぶための「とっかかり」として最適な一冊です。
考察②:商売の基本は「売上を増やす」か「費用を減らす」こと
さおだけ屋がなぜ潰れないのかを考える中で、本書は商売の基本原則を浮き彫りにしています。
商売を続けるためには、利益を出すことが不可欠です。そして、利益を出すためには、「売上を増やす」か「費用を減らす」かのどちらかしかありません。
さおだけ屋の例では、需要が低い商品でありながら、高い単価で販売する戦略や、副業として経費を最小限に抑える仕組みが描かれています。
例えば、さおだけ屋がトラックで巡回販売を行う際、安いさおだけを宣伝しながら、実際には高価な商品を売りつけることで利益を上げているケースが紹介されています。
また、さおだけ屋が本業の金物屋の経費を流用することで、仕入れ費用や人件費を抑えている点も興味深いです。
このように、本書は商売の基本をわかりやすく解説し、読者に会計的な思考を身につけさせることに成功しています。
考察③:個人の家計管理にも応用できる会計の考え方
本書は、企業の会計だけでなく、個人の家計管理にも役立つ知識を提供しています。
特に、利益を出すための最も合理的な行動として「費用を減らすこと」の重要性が強調されています。
例えば、節約をする際には、割引率ではなく絶対額で考えることが重要です。
1000円の商品を500円で買うよりも、101万円の商品を100万円で買う方が、1万円の得をするという考え方は、家計管理において非常に有用です。
また、費用対効果を考える際には、情報源が偏っている場合に騙されないように注意する必要があります。
食器洗い乾燥機の例では、水道代の節約効果を謳いながらも、電気代がかさむことでトータルのコストが変わらないことが指摘されています。
このように、自分の家計の状況を把握し、数字を鵜呑みにしないことが、会計を活用する上での重要なポイントです。
まとめ
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」は、会計学を身近な疑問から学ぶための入門書として非常に優れた一冊です。
さおだけ屋という一風変わった商売を題材にすることで、会計の本質をわかりやすく解説し、読者に会計的な思考を自然と身につけさせます。
また、企業の会計だけでなく、個人の家計管理にも応用できる知識が豊富に含まれており、日常生活で役立つヒントが満載です。
会計に苦手意識を持つ人や、会計を学ぶきっかけが欲しい人にとって、本書は最適なガイドとなるでしょう。
ぜひ手に取って、会計の世界を身近に感じてみてください。